コーセラン
耐熱性・耐火性に優れ、薄く丈夫な無機繊維シート
『コーセラン』は、生体溶解性セラミック繊維を、KJ特殊紙独自の製紙技術でシート化し、
耐熱性・耐火性を持たせた製品です。強度がありながらも薄く、カッターなどでの加工も容易。
また、耐溶剤性、耐水性、さらには無機・有機薬品の含浸性にも優れています。
特徴
- 生体溶解性繊維といった、RCF規制対象のセラミック繊維以外の原材料を用いて製造しております。
- 耐熱温度700℃で、耐熱性、耐火性を有しており、加熱後も一定の強度を維持します。
- 薄く(150 μm~)、フレキシブルで、折り曲げ、切断といった加工性に優れています。
- 空隙率が高く、触媒、多孔質材料を担持でき、無機・有機薬品の含浸性に優れています。
耐熱性ガラス繊維シートとの比較 |
折り加工性 |
用途
- 耐熱ハニカムフィルター(脱臭、除湿など)、耐熱濾材
- レーザー加工用ハニカムコア基材、耐熱タグ
- 耐熱シート、防火シート、スパッターシート
- 耐熱構造材(耐火建材、炉の耐火材、不燃内壁材、断熱材)
- 触媒、多孔質材料の担持シート、高温ヒーター用基材
※ 400°C以上の焼成処理により、耐火物、不燃シート(不燃紙)としてご使用いただけます。
加工例 |
物性例
一般物性
項目 | 単位 | 測定値 | 規格・条件 |
坪量 | g/m2 | 70 | JIS P-8124 |
厚さ | ㎜ | 0.17 | JIS P-8118 |
密度 | g/cm3 | 0.41 | JIS P-8118 |
灰分 | % | 84 | JIS P-8128 |
引張強度 | kN/m | 1.8 | JIS P-8113 |
湿潤強度 | kN/m | 0.4 | JIS P-8135 |
使用可能温度常温~700°C
断熱性
熱伝導率 (W/m・K) |
焼成前 | 0.17 |
焼成後 | 0.16 |
紙面垂直方向の熱伝導率(周期加熱放射測温法)
絶縁性
体積抵抗率 (Ω・cm) |
焼成前 | 4.4×1011 |
焼成後 | 6.4×1010 |
JIS C 2139 3-1, 3-2
燃焼試験(加熱時間:20分)
評価項目 | 総発熱量 [MJ/m2] |
200kW/m2 超過継続時間[s] |
防火上有害な 裏面まで貫通する 亀裂及び孔の有無 |
不燃材料の規格 | 8以下 | 10未満 | 無し |
コーセランシート | 0.18 | 0 | 無し |
ISO5660-1
カスタマイズできる無機系シート
(1) 無機繊維について
- 無機繊維とは無機物からできた繊維のことで、ガラス繊維、金属繊維、セラミック繊維、炭素繊維等があります。
- 一般に、有機繊維と比べ無機繊維は、耐熱性・耐薬品性・耐候性・耐摩耗性・高弾性率に優れます。
- 無機繊維の中の一つであるガラス繊維の耐熱性は無機繊維の中では低いですが、強度が高く伸縮性が少ないという特性があります。
- ガラス繊維より耐熱性が優れる繊維にセラミック繊維がありますが、その中でアルミナシリカ系人造非晶質鉱物繊維は、RCF(Refractory Ceramic Fiber)と呼ばれています。
- 無機繊維の有害性に関し、アスベストに続きRCFもIARC(国際がん研究機関)の2002年評価で、グループ2B(ヒトに対する発がん性が疑われる)に分類され、国内においても、2015年11月より特化則の第2物質類に追加され、厳しい取り扱い規制を受けることになりました。
- RCFに代わる素材として1990年頃にEUで開発された生体溶解性繊維(BSF:Bio Soluble Fiber)は吸引して肺に入った後に溶解・排出されるため、健康リスクは無いことが確認されています。
(2) 無機系シートについて
(a) 無機繊維シート(無機繊維紙)
- セラミック繊維やガラス繊維などの無機繊維を主体として作られるシート。
- 例えば、ガラス繊維からなるガラス繊維シート(ガラスペーパー)や、セラミック繊維シート(セラミックファイバーシート、セラミックファイバーペーパー、セラミック繊維紙)などがあります。
- コーセランは、生体溶解性繊維をはじめとする、RCF規制対象外の原材料を用いた無機繊維シートです。
(b) 無機物担持(混抄)シート
- 無機物(無機粉体、無機顔料)を担持させ、パルプ等と混抄して得られるシート。
- 例えば、水酸化アルミニウム紙、ケイ酸マグネシウム紙など。
KJ特殊紙では無機繊維や有機繊維、各種顔料などを用い、
シート化、塗工、含浸、添着、ラミネート、分散といった得意技術でお客様の課題を解決します。